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患者さまへ

脊椎外科領域

京都大学とも連携を持ち、脊椎脊髄外科グループにて研鑽を積んだ医師が担当しています。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症・腰椎分離症・頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性脊髄症、後縦靭帯骨化症や黄色靭帯骨化症など一般的な脊椎疾患はもちろん、近年健康寿命の延長に伴い、成人の脊柱の変形(腰曲がりやそれに伴う歩行容姿の悪化、二次的に逆流性食道炎など栄養面への悪影響)の矯正手術、脊椎圧迫骨折やそれに伴う遅発性脊髄症や偽関節の手術、脊髄腫瘍、関節リウマチに伴う脊椎疾患(環軸椎亜脱臼など)などあらゆる脊椎・脊髄疾患に対応しています。

 当脊椎センターの特徴は、一般的な従来の前方手術・後方手術に加えて、症例に応じて顕微鏡下手術・内視鏡下手術、低侵襲の固定術をなど、早期離床や早期の社会復帰を目標としたMIS(最小侵襲脊椎手術)を念頭においた治療を行っております。後述するコンピューター支援器具(O-arm:術中CT撮影装置・脊椎ナビゲーションシステム・術中神経モニタリング装置など)充実した手術周辺機器を使用して、より安全に、より正確に、脊椎の高難度の手術に対しても積極的に手術を行い、良好な成績を得ています。

当院脊椎外科の特徴

【腰椎手術】

①腰椎椎間板ヘルニア

基本的には数ヶ月の保存治療(安静や鎮痛剤、理学療法など)で治癒することが多いといわれています。ヘルニアの特徴的な症状は腰痛、下肢痛ですが初期の症状は腰痛だけのことも稀ではありません。神経の圧迫が強いときは、足趾の力が入らない(スリッパが脱げやすい、つま先立ちできない)、残尿感がきつい、便秘になる、性器、肛門付近の感覚が鈍いといった膀胱直腸障害出現することがあり、その場合は早期の手術が必要になります。2006年より脊椎内視鏡下ヘルニア摘出手術を行っており、良好な成績を残しています。脊椎内視鏡手術は直径16mmの円筒リトラクターを手術部位に挿入し、その中で手術操作を行いヘルニアを摘出することで組織の障害を最小限に抑えます。手術創が小さい(2cm程度)ことに加え、術中・術後の出血が少ないこと、術後の痛みが少なく術後早期から離床が開始できるため入院期間が1週間から10日程度と短く、社会復帰が早いことなどが特長です。また2020年からは従来の内視鏡をより低侵襲化したFELD(全内視鏡下椎間板切除)とよばれる8mm程度の切開で、より早期の復帰を目指した新しい内視鏡手術を導入する準備を進めています。

内視鏡手術などを行っています

腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症に対して当院では2006年よりMEDと呼ばれる脊椎内視鏡手術を開始しています。脊椎内視鏡手術は直径16mmの筒を手術部位に挿入し、その筒の中で手術操作を行うことで組織の障害を最小限に抑えます。手術による傷が小さい(2cm程度)ことに加え、手術中・手術後の出血が少ないこと、手術後の痛みが少なく、術後早期から離床が開始できるため入院期間が1週間から10日程度と短く、社会復帰が早いことなどが特長です。

ただし手術の目的は安全かつ確実に手術を遂行することにあり、年齢や病態によって内視鏡手術が適さない場合もありますので、詳しくは外来担当医にご相談下さい。

従来のヘルニアの傷(約10cm)

MED (Micro Endoscopic Discectomy:従来の内視鏡下椎間板切除術)


内視鏡で行った場合の傷(1.5~2cm)

FELD (Full endoscopic lumbar discectomy: 全内視鏡下椎間板切除術)
2020年度からはより低侵襲な内視鏡手術の導入の準備をすすめています

②腰椎すべり症や腰椎の分離症などは、単に骨や椎間板だけが神経の圧迫要因ではなく、破綻した背骨の不安定性が症状の原因の大きな要因となっています。そのため、このような病態においては、単なる内視鏡などの切除手術だけではなく、一部分背骨の動きを犠牲にしたとしても、局所を固定して安定化させる必要があります。

最小侵襲脊椎固定術

内視鏡手術のノウハウを生かし、当院では2008年より腰椎のすべり症や分離症など、不安定で背骨の部分的な固定が必要な症例に対して、最小侵襲脊椎固定術MISt(Minimally Invasive Spinal Stabilization)を行っています。

 従来の脊椎固定術は手術の傷が大きく、腰背部の筋肉を背骨から剥がして手術を行っていました。そのため術中・術後の出血が多く、術後の痛みも強いため患者様は手術による苦痛をある程度避けられませんでした。

当院で行っている最小侵襲脊椎固定術は脊椎の1椎間の固定の場合、まず左右のどちらかに4~5cm程度皮膚を切開し、直径26mmの筒を挿入してその中で骨や椎間板の操作を行います。さらにこの傷から脊椎にスクリューを2本挿入します。左右の反対側では長さ2cm程度の小さな傷を2箇所作り、ここから組織を大きく損傷することなく脊椎にスクリューを挿入し、これらにより脊椎固定を行います。

 この方法により手術による出血が大幅に減少し、手術後の痛みも軽減されるため患者様の満足度は大幅に改善しています。

立位で機能撮影 L4/5の辷りが強い

手術は経皮的にスクリューを挿入し、除圧側は26mmの筒を挿入して除圧、人工椎間板挿入を行います。

傷はスクリューを刺入する傷1cmが縦に2カ所、除圧とスクリューを挿入する側が約2cmです。

チタン製のスクリュー、ロッド、及び人工椎間板です。
(患者さんによってはPEEK素材を使うこともあります。)

最近では側方侵入腰椎椎体間固定術(XLIF / OLIF)といってMIStの手術の中でも後方の筋肉、椎弓に手術侵襲を加えない方法を採用しています。欧米では約10年前より導入されていますが、日本では2013年より承認され、現在のところ限られた医師、施設でのみ行われています。当院では2013年より導入しすでに多くの手術実績があります。手術は胸腰部側方に約4cmの小切開を加えます。専用の神経モニターシステムを用い神経をよけながら背骨、椎間板に到達し人工骨を挿入します。この手術により少ない出血量で背骨のずれや曲がりを矯正することができます。この手術の特徴は腰の神経の圧迫に対し直接背骨を削って取り除くのではなく、背骨の変形を矯正することにより間接的に神経の圧迫を軽減できるという点です。対象となる疾患は腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、再発椎間板ヘルニア、腰椎変性側彎症、腰椎後彎症などです。原則、手術翌日よりコルセットを着けて痛みに応じ、起立、歩行が可能です。ただし患者様の状態や背骨周辺の神経、血管の走行などによりこの術式が選択できない場合もありますので十分、術前に評価させていただきます。

お腹の横から小切開(約3−4cm)で行います。

同時または2期的に後方からスクリュー固定(大半は経皮的)し、矯正固定を確実とします。

成人の脊柱変形の患者さんです。腰曲がりによる腰痛と歩行容姿の不良で来院されました。
   OLIF手術を使用することで腰の曲がりと姿勢の矯正が得られます。

脊椎ナビゲーションシステムと術中CT装置(O-arm R)の導入

当院では2007年に脊椎ナビゲーションシステムを導入し、脊椎手術の安全性と信頼性を高めています。脊椎ナビゲーションシステムによりあらかじめ患者様の脊椎の情報をコンピューター内に取り込み、コンピューター支援の下に実際の患者様の体と照らし合わせて手術操作を行うことができます。
 特にスクリューなどで脊椎を固定する手術や、正確に骨を削る必要がある手術などでは威力を発揮します。2013年からは0-armといって術中にCT撮影を行うことで、術中の体位での正確な位置が確認できるため、より正確なナビゲーションが出来ます。これはすべての脊椎固定、除圧に有効ですが、特に頸椎においては確実性、安全性という面で強力なツールになります。

精度は1mm以内で安全にスクリュー挿入が可能です。

OLIFも正確に人工椎間板が挿入できます。

術中脊髄モニタリングを併用して、より安全に手術操作を行います。

脊椎手術は術後の麻痺や筋力の低下に細心の注意が必要な分野です。術者の経験だけに頼るのではなく、特に頸椎、胸椎の手術や前述した側方侵入腰椎椎体間固定術(XLIFやOLIF)の手術などより精度が必要となる高難度の手術では、脊髄に電気信号を通し、脊髄の機能をモニターしながら手術を行っています。これにより、より安全に手術を遂行することができます。

モニター装置

③近年は健康寿命の延長に伴い、元気なご高齢患者様が増えています。 これまで圧迫骨折後の疼痛はコルセットや痛み止めで、辛抱を強いるケースが多いのが実情でしたが、現在は手術手技の進歩と麻酔技術の進歩で、80台であっても、積極的に手術を受けられる患者様が増えています。 特に、胸腰椎圧迫骨折後の偽関節や脊髄麻痺に対し セメントによる椎体形成術や インプラントによる椎体置換術などの手術を行っています。

◎骨セメントを使用した椎体形成手術

経皮的椎体形成術(BKP)(バルーンで椎体を膨らませてセメント注入する方法)を
行っており、現在患者さんは100人を超えており満足されています。

◎インプラントを使用した椎体再建手術

経皮的椎体形成術(BKP)で対応できないような不安定な圧迫骨折には、新しい人工椎体への置換手術で痛みの改善や姿勢の改善を目指します。

【頸椎手術】

頸椎手術は頚髄症、頸椎後縦靭帯骨化症、関節リウマチ関連脊髄症(輪軸椎亜脱臼など)など、より安全性と高度な技術が要される分野です。 京都大学では伝統的に、頸椎の前方固定術・インプラントを駆使した高難度手術にも強く、当院でも前述のコンピューター支援器具を使用し、積極的に手術を行っています。 特に頸椎の後縦靭帯骨化症は、脊髄の圧迫要因が椎間板ヘルニアのように柔らかい組織でなく、硬い骨が圧迫しているため、術後の麻痺のリスクも高く、手術難度も高い事から敬遠されがちな疾患です。当院では臆することなくこの難治性疾患にも積極的に手術を行っています。

◎頸椎後縦靭帯骨化症に対する頸椎の前方除圧固定術

骨化のある第4,第5頸椎を前方から掘削し、ご自身の骨盤の骨を移植する頸椎の前方除圧固定術を施行し 手指の運動機能、歩行機能の改善が得られました

◎ 環軸椎亜脱臼、歯突起後方偽腫瘍に対するインプラントを使用した頸椎後方除圧固定術

頸椎の1番(環椎)と2番(軸椎)に生じた不安定症と形成された炎症性腫瘤による延髄・脊髄の圧迫症例です。放置することで四肢の麻痺症状や呼吸の症状などの恐れがあり、ナビゲーションを使用し、安全に後頭骨から頸椎を 固定する手術を行いました。

【その他手術】

脊髄の部分にできた腫瘍には脊髄のモニタリングを使用して安全に摘出を心がけています

◎上位胸椎部に生じた髄膜種と呼ばれる硬膜内髄外腫瘍の1例

胸椎の2番目の脊柱管内に認めた髄膜種と呼ばれる良性腫瘍の1例です。 神経合併症なく摘出を行いました。